私はある賃貸住宅の管理業を主要事業とした大手不動産会社に勤務しております。母体のハウスメーカーのグループ会社にあたり、0から1を生み出す請負ビジネスとは違い、既にあるもの(不動産)にあらゆる角度から携わっていくいわゆる「ストックビジネス」という仕事です。この世の中から「賃貸住宅」が無くなることが想像できない今、コロナも含めた世の中の動きに影響されにくい安定した職ということで、勤めている私は恵まれているといってもよいと思います。
その中でも主要事業である「賃貸管理事業」は、オーナー様に対して賃貸管理のサポートを行い、より良い経営ができるようにコンサルティングすることが求められています。「より良い経営」とは「満室」であるということ。空室が出ようとも次のお申込みがすぐに入るような素晴らしい賃貸住宅を一緒になって作り上げていくということになります。
その反面、会社としての利益追求から数字を追い求める要求が高まっていく傾向もあります。築年数の経った物件に対しては「リフォーム」のご提案がサポートの一手段であると同時に、大きな利益を生み出す手段でもあります。求める数字は次第に大きくなり、今では社内で「設計部署」や「リフォーム専門部署」までできてしまいました。何を伝えたいかというと、「コンサルティング会社」であるはずの弊社が、いつの間にか「リフォーム会社」になってしまっていたのです。
リフォームも多種多様ですが、決して安い工事ばかりではありません。建設業の資格を持たない弊社でも、500万円以下の工事は請け負うことができ、1室をフルリフォームするとなると300~400万円はかかる場合もあります。ですので、何でもかんでもリフォームを提案する必要は本来ありません。その物件でリフォームをすることでしっかりメリットをはらんでいるのかをプロの目で見極め、もし最善手でないなら家賃を下げてでもすぐに空室を埋める方法に切り替えることもコンサルティング業の務めなのです。そこを、受注の欲しさにリフォームをやみくもに提案していくことは本来の姿ではないということです。
会社が大きく成れば成るほど、この思考が先行し、コンサルティングの道から外れていく姿をよくみます。私は経営者になったことがないので綺麗事になるのかもしれませんが、どのようなご時世であれ、オーナー様にとって最善手を打ち続けられるコンサルティング営業マンを目指して、今の仕事を頑張っていきたいと思っています。